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特集・赤城山南麓の城跡

特集, 赤城の史跡 2015.03.17(火)

上杉勢と北条勢の争いの最前線

女淵城3
 上杉氏は、室町時代から関東管領の職を独占しつづけており、関東全域の武士たちを統括する立場として、大きな権力を持っていた。しかし、戦国時代に入ってからは、相次ぐ内紛や謀反で次第に弱体化していった。

 そんななか、新興勢力の北条氏が小田原を拠点に台頭し、関東の覇権をかけて、東京、埼玉、群馬へとその軍を進めていく。

 さて、そのころの赤城山の南麓周辺には、大小の武士の勢力があり、長尾氏、沼田氏、長野氏、由良氏、桐生氏、阿久沢氏、大胡氏、膳氏、那波氏といった面々が、それぞれの領地に居城を構えていた。彼らを巻き込んで、守る上杉と攻める北条。代々上杉の影響下にあった南麓の武将たちは、あるものは上杉にのこり、あるものは北条と盟を結ぶ。そして、めまぐるしい情勢の変化に応じ柔軟に立場を変え、したたかに生き残りをはかりながら、虎視眈々と、乱世での台頭を狙っていた。

 さて、全国的には織田→豊臣→徳川と権力の中心が移っていく戦国終盤戦。関東では、上杉が越後まで後退し、都に打って出ようとした武田が滅亡。最後に関東全域を勢力下に置いたのは新興勢力の北条だったが、その権勢も長くは続かず、豊臣秀吉の小田原征伐により滅亡してしまう。
 このとき多くの群馬・埼玉の武将たちは北条軍として豊臣秀吉と戦ったため、敗戦後はみな没落してしまった。あるものは帰農し、あるものはほかの大名に仕官する身となった。
 赤城山南麓の城たちも、その多くが、このとき没落した諸氏とともに、役割を終えて廃城となっていった。

 一般的には、「城」といったときにイメージされるのは、姫路城や彦根城のような、江戸時代までに建てられてそのまま現存する天守の姿だろう。
 あるいは石垣がきれいに残っていたり、再建構造物のある各地の城址公園も、身近な「城」の姿だろう。このようにいまにその姿を伝える城の多くは、戦国時代を生き延びて江戸時代の終わりまで藩庁として利用され城下の繁栄を見守った。そして、明治に入ってから新政府によって解体された城たちだ。

 その一方で、戦国時代の終わりとともに、その役割を終えて打ち捨てられた赤城山周辺の城たち。300年以上のときを経て、土塁や石垣の一部などの遺構を残すのみとなったものも多い。集落から離れた山腹の城跡などは、先にあげた身近な「城」のイメージとはだいぶ違う。
 戦のために作られ、戦の終りとともに忘れられた城たちは、戦の名残りを色濃く残し、ひとあじ違った迫力と魅力を持っている。
 地図から天然の守りを利用した立地を確認し、運動靴を履いて現地に赴こう。
 今に残る大規模な遺構をたよりに、当時の城の姿を想像してほしい。攻め落とす敵兵のつもりになって空堀を越えて目指すは小高い主郭。たどり着いたら、こんどは守る城主のつもりで来た道を見下ろす。いかに攻めにくく、そして守りやすいことか。そして高台から町を見下ろせば驚くほど遠くまで見通せる。彼方から攻め来るのは北条の軍か、武田の軍か。背後にそびえる居城をたよりに戦国時代を疾駆した武将たちと同じ気分を味わおう。

※戦国時代の赤城山周辺の複雑な事情について 赤城山周辺の大勢&主な登場人物 で概要をおさえると、各城の記事が多少読みやすくなります。

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こちらの記事は、「群馬の古城」(山崎一著 2001年 あかぎ出版)や、各市の公式ウェブサイトの史跡・文化財紹介、現地案内板に加えて、郷土史研究家や愛好家によるウェブサイト、ウィキペディア等の精査されていない情報も参考にしています。
また、フィクションたっぷりの江戸時代の軍記物などから、新田老談記、唐沢老談記、館林盛衰記、加沢平次左衛門覚書(史籍集覧 近藤瓶城編)、加沢記:附・羽尾記(上毛郷土史研究会)、関原軍記大成、武田三代軍記、上州治乱記、上州坪弓老談(国史叢書 桐生出身の黒川真道編)などを参照しており、学術的には否定されている内容も含みます。
正確性について一定の配慮を行っていますが、 「諸説ありの読み物」であり、決して「事実」や「資料」や「公的な見解」ではないことをご了承ください。

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